世界中で愛用されるシルクの魅力

衣料分野で愛されるシルクは掛け布団としてもおすすめ!シルク(絹)は、古くからドレスや着物などのフォーマルウェアの分野で世界中の人々を魅了し、愛用されてきた最高の素材です。優雅な光沢やしなやかな肌触りに加え、豊かな吸放湿性、保温性などで着心地のよさ、他の繊維より優れた固有の特性をもっています。

愛用されてきたのは衣料だけではありません。今回ご紹介するのはシルクの掛け布団です。羽毛布団とともに人気があるシルクの掛け布団は肌触りに優れた高級布団として知られており、原料の真綿は蚕の繭から作られた綿のことで、いわゆる絹と同じ素材です。やや値段は張りますが、質感、寝心地ともに優れた布団として人気を集めています。

ここでは、そんなシルク掛け布団の特性や魅力についてまとめていますので、ご購入の際に参考にしてください。

シルクってどんな素材?

その前に、まずはシルクの特徴を簡単にまとめてみました。多機能な素材ではあるものの、デリケートな素材なので取り扱いには十分注意が必要になります。

シルクが布団におすすめな理由は吸湿性に優れているから

●メリット
・独特な光沢がある
・軽くて肌触りがなめらか
・吸湿性、通気性に優れ、サラッとした肌触り(※)
●デメリット
・摩擦に弱い、物で擦れたり、服の上から手で強く掻くとすぐ生地にダメージが残る
・紫外線を吸収する働きがあるため、長時間日光を当てていると変色する
・色落ちしやすい
・繊維の特質上、水に濡らすと形状が崩れやすい

※シルクは吸湿性に富んでいるため合成繊維に比べて静電気は起きにくくなります。また、紫外線から肌を守る機能があります。シルク製品を身につけた場合、肌の大敵であるUV-B波(UVB)、UV-C波(UVC)が吸収されて紫外線をカットする役割があるんです(カット率90%前後と言われています)。

さて、ここからはシルクが布団として働く機能や特徴などをご紹介していきましょう。

シルクの掛け布団のメリット・デメリット

シルク掛け布団の良い部分、あまり優れていない部分の両面を見ていくことにしましょう。自分に合った布団を探すためにお役立ていただければと思います。

1.吸湿性、放湿性が高い!
“布団には睡眠中の汗を吸収する”という大切な役割があります。吸湿性の低い布団を使っていると、湿気がこもって不快になったり、汗が肌表面に付着することで身体が寒く感じられる原因になったりするからです。シルクの布団なら吸湿性が高いので、汗をしっかりと吸い込んで、表面はサラサラの状態が保たれます。また、吸った汗を空中に放出する放湿性にも優れています(木綿の1.5倍に相当!)。頻繁に干さなくても湿気が逃げていくので、いつもサラサラの布団に寝ることができます。
※吸湿性と放湿性に優れているという点では羊毛掛け布団もおすすめできます。詳細は『羊毛掛け布団の特徴をチェック!』をご覧ください。
2.綿ボコリが出にくく衛生的!
ときどき、合成繊維でできた布団などは中綿がホコリになってしまい、ハウスダストの原因になることがあります。こうした綿ボコリはアレルゲンになることもあるため、できる限り排除しなくてはなりません。ですが、シルク掛け布団に使われている真綿は繊維が壊れにくく、簡単にはホコリが出ません。「ハウスダストが苦手…」という方でも安心して使うことができますよ。
※ハウスダストを防ぐ方法やダニを防止できるおすすめの布団をご紹介しましょう。詳しくは『ハウスダストを減らす3つのポイント!』をご覧ください。
3.手入れが難しく長持ちしにくい…
シルク掛け布団の真綿は動物性タンパク質を含んでいるため、手入れを怠ると虫が湧いてしまうことがあります。しかし、手入れといっても、シルクは直射日光に弱く、天日干しはNG。さらに、家庭で洗濯することも出来ません(※)。その上、綿の弾力が失われるのも早く、おおむね5年程度で品質は大幅に低下すると言われています。そのため、”高級でありながら長持ちしない…”という弱点を持っていることは否定できません。
※ラベルに表示してある組成によっては洗濯可です。詳細は次項でご紹介します。

以上のように、シルク掛け布団は寝心地に優れている一方、寿命が短く、お手入れするのが困難、という側面を持っています。シルク製の布団を検討している方の場合、これらのポイントを踏まえた上で熟慮する必要がありそうです。

シルクの掛布団は洗濯できるの?

昔はシルクの寝具は基本的には洗えませんでした。ですが、最近は組成によっては洗えるシルクが出てきたんです。シルクと綿などを混ぜた「シルク混紡」や「ウォッシャブルシルク(※)」など。洗えるかどうかは生地に付いている洗濯絵表示を確認してみてください。「洗濯OK」「手洗いOK」のマークがあれば自宅で洗えますし、×であればクリーニング店にお願いしてください。
実はシルクの主成分は人の肌と同じでたんぱく質。水や擦れ、合成洗剤や石けんのアルカリ、日光による変色、高温の水や乾燥機などの影響(変質・縮み・色落ち)が出る可能性は大きいのです。

※ウォッシャブルシルクとは、家庭で水洗いしても色落ちや縮みが少なく、日光による黄ばみに影響が出ないよう絹に加工を施したもの。

自宅で洗う場合

ただ、自宅で洗えると分かってはいてもシルクはシルクです。とてもデリケートな素材ですから、洗濯をする際は下記のような方法で行ってみてください。

シルクの掛け布団の汚れはクリーニング店がおすすめ

1)まずは洗濯絵表示を確認
「洗濯OK」や「手洗いOK」のマークがあるか
2)さらに洗濯絵表示の洗い方の詳細を確認
ネット使用の有無
水温
水流の強さ
ドライクリーニングの可否
脱水の強さ
干し方(乾燥)
3)20~30℃程度の常温もしくはぬるま湯に中性洗剤を入れて弱水流で洗う
柔軟剤を使用する際は洗濯絵表示を確認してから使用してください。
4)脱水は短時間
シルクは放湿性に優れているので脱水が短時間でも乾きます
5)干す時は、必ず陰干しで自然乾燥
日干しや乾燥機は変色や縮の原因なので絶対NG!

なお、色落ちや縮みなどが気になる方は、シルクの布団を取り扱ってくれるクリーニング店にお任せすることをおすすめします。

【まとめ】放湿性ならシルクの掛け布団がおすすめ

真綿を用いたシルク掛け布団は、木綿布団の1.5倍に相当する放湿性があるため、夜間に吸い込んだ汗をどんどん空気中に放出していきます。そのため、適度に陰干しするだけで、いつもサラサラの肌触りを実現します。布団の中にジメジメと湿気がこもることはほとんどありません。
ただ、万一にも過度な湿気が生じてしまうと虫が湧くなど、手入れの難しさが弱点となりますね。シルクは汚れてしまうとプロの方でも扱いが難しいといわれ、長持ちさせるのが難しい素材なんです。シルクの掛け布団の購入を考えているのであれば、お手入れの仕方も考えて決めた方がよいでしょう。

いかがでしたでしょうか。今回はシルク掛け布団の基礎知識や選び方のコツなどをご紹介してきましたが、洗濯やお手入れ方法の難さも出てきますね。このデメリットを改善するには、他の素材に替えることも選択肢の1つだと思います。そのためには他の素材の特徴をシルクと比較してみてください。詳細は『掛け布団の種類を解説!あなたにおすすめする理想の素材』をご覧ください。

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